星が降り注ぐ午前2時

 

暗闇の中に響く布擦れ。聞いたことのない甘ったるい声。荒れる吐息。
―――――ああ、今日もか。
頭の隅っこでそんな思いがふと現れて、でも、すぐに消しゴムをかける。
いいの。これでいいの。けじめをつける日は、もう決めているから。
今はこの瞬間を求めるの。体裁も、関係も、すべてすべて忘れるの。
覆いかぶさる彼の背中に両手を回して、――――私はその一瞬を迎えた。

 

 

 

『星が降り注ぐ午前2時』

 

 


干渉しない。干渉されない。
そんな関係。
ぐらりと傾くことはない、楽な関係。

もうすぐその関係の終焉が訪れる。

 

 

 

 

 

あらすじ

大学2年、1年前の夏休みだけ付き合った先輩のことを引きずった勢いで登録したマッチングアプリで出会った男と逢瀬を重ねる夜は気付けば冬まで持ち越していた。