だ い き ら い
あのソプラノが耳に響く。
この空間に彼女はそれだけ置いていなくなった。
最低なことをしたのだ、と自覚したのは彼女がこの場を去った後だった。
自分には彼女がそうなる行為をした覚えがない。
、なんて言えばまた彼女の逆鱗に触れたのだろう。
“なんで嘘ついたの”
“なんであの子といたの”
“なんで私よりあの子なの”
“ねぇ、なんで”
最後に残ったのは理由ばかりを問う彼女。
疲れた、なんて言ったら彼女はどう反応するだろう。
怒る?
泣く?
戸惑う?
―――いや。
“じゃあ別れよっか”
そんな選択肢を、選ぶんだろう。
俺と彼女を繋いでたのは最後に残った言葉だけの関係だったのだから。
いっぽんのいと
(冷めない愛ってこの世にあんの?)
―――
よく分からんくなった。←
初出 2012年
←って記号が時代を感じる…